パーキンソン病の治療 その4

まず一番大事なことは、パーキンソン病と診断を下された時に患者側はパーキンソン病が何なのか?ということ(経過・治療法など)を患者側にきちんと説明することが大事です。そして、薬物治療開始のタイミングを観察するとともに、リハビリテーションを開始することが大事となってきます。

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    パーキンソン病を発症したら、いつから薬物投与を開始するか?

    ①診断がついた時点で、すぐに薬の投与を始めるべき

    ②ある程度、日常生活に支障が出た時点で投与を始めるべき

    ③できるだけ、薬の投与を遅らせるべき

    といった意見があり、議論で意見は分かれていますが、②の意見が一般的にみて合意されている意見となっていました。レボドパの長期服用による運動合併症の発現をできるだけ遅らせるため、またレボドパ自体が神経毒であるという説があったからです。しかしいくつかのランダム化比較試験 で、レボドパがプラセボ群に対して有意に運動症状の改善を認め、レボドパ投与によるパーキンソン病の進行ではなく、逆に早期からのレボドパ投与で運動機能がよく保たれる可能性が認められました。また (レボドパの投与期間を短縮する目的でも) 治療開始を遅らせることは、それによって神経変性が予防されて病気の進行が遅くなるわけではないからです。このため、治療開始を遅らせる理由にはならないといえるでしょう。

    何の治療から始めるか?

    運動症状に対する薬物療法は、ドパミン補充療法で開始する点は確立しているため次のようになります。

    ①非高齢者 (70-75歳を境界として) で認知症のない場合は、基本的にはドパミンアゴニストから開始し、改善が不十分なときにはレボドパ/カルビドパ合剤を追加する

    ②同じ条件でも、現在の運動症状の改善を優先したい事情がある場合は、ただちにレボドパ/カルビドパ合剤から開始して、改善不十分な場合にドパミンアゴニストを追加する。

    ③認知症がなく、運動症状が軽度の場合は、MAO-B阻害薬から開始する。

    ④高齢者の場合、または認知症のある場合は、初めからレボドパ/カルビドパ合剤を使う。

    日本では、MAO-B阻害薬 (現在はセレギリンのみ)の単剤服用は認められていないので、③の選択肢は選ぶことはできません。

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      進行期パーキンソン病の治療で、レボドパ長期内服で生じる運動障害の対応

      パーキンソン病が進行していくと、いずれは、ほぼレボドパ治療が必須となります。しかし、レボドパの長期服用は運動合併症という問題を引き起こします。

      ウェアリングオフ

      レポドパ製剤の半減期は60~90分ですが、早期パーキンソン病ではその効果が切れることを体感することはほとんどありません。しかし進行期パーキンソン病では次の内服時間の前に運動障害が悪化するウェアリングオフが認められることがあります。この場合は症状日誌やMASAC-PD31で症状の変動、オフ期の有無を評価します。そしてジスキネジアが増悪しないように内服調節を行います。具体的には、オフの時間帯に合わせてレボドパを追加する、COMT阻害薬を追加する、ドパミンアゴニストを追加、変更、増量しオフ時状態の改善(底上げ)を行う、MAO-B阻害薬を追加するといった方法があります。内服調節でコントロールが困難な場合は脳深部刺激療法も考慮します。

      不随意運動(意思ではなく、勝手に動いてしまうこと)

      振戦以外にパーキンソン病治療薬によって不随意運動が生じることがあります。ジスキネジアが一般的ですが、ジストニア、バリズムが起こることも知られています。レボドパの血中濃度が最大の時に生じるピークドーズジスキネジア、急激な濃度変化でおこる二相性ジスキネジア、薬効が切れた時に生じるオフジストニアがよく知られています。内服調節で改善することもありますが、治療は難渋する場合が多いです。場合によっては、定位脳手術が施行されることもあります。