パーキンソン病の治療 その3

パーキンソン病の特徴的な症状が、1日のうちで良くなったり、悪くなったりを繰り返す状態を『運動症状の日内変動』といいます。運動症状の日内変動にはwearing-off現象、on-off現象、delayed on現象、no-on現象があります。

症状の日内変動
wearing-off現象 L-dopaの血中濃度に依存する変動
on-off現象 L-dopa血中濃度と無関係な変動
delayed-on現象 L-dopaの効果が発現するまで時間を要する
no-on現象 L-dopaを服薬しても、効果が得られない
生物学での研究が基盤となるバイオケミカル産業
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持続性ドパミン刺激(CDS)

CDSとは、 (continuous dopaminergic stimulation) の訳語です。これまでのレボドパ内服療法では、長期間投与につれてウェアリングオフ・ジスキネジアなどの運動合併症が現れていました。この運動合併症の出現を遅らせたり抑止すること、または現れた症状を軽減することが長年課題となってきていました。この目的のために、ドパミン受容体を持続的に刺激する方法が指向されています。

レボドパ/カルビドパの持続的十二指腸内投与

レボドパとカルビドパの合剤をゲル状にしたものを、造設した胃瘻(いろう)を通じて十二指腸内に留置したチューブから持続的に投与する方法 です。(商品名デュオドパ) 薬液はポンプにいれて携帯します。進行期パーキンソン病において、既存の多剤内服療法に比べてみると、オン時間の延長を認めるため、ジスキネジアの増悪もなく生活の質の向上が見られています。また安全性も高く、そのためアポモルヒネ持続注射法や (視床下核脳深部刺激に代表される) 外科的治療が無効だったり、もともと適応がない場合には、この持続的十二指腸内投与が最後の砦となる治療法です。

レボドパ徐放剤

IPX066は経口のレボドパ/カルビドパ合剤で、導入が検討されています。

ロチゴチン

非麦角系ドパミンアゴニストの貼付剤 (皮下投与薬)です。 経口の徐放剤に同じく1日1回貼付となっています。早期・進行期でともに有意な運動症状の改善を認められています。進行期でのオフ時間の短縮もプラミペキソールと同等です。 

ドパミンアゴニスト徐放剤

プラミペキソール徐放剤、ロピニロール徐放剤が開発されていて製品化されています。いずれも1日1回の内服となり、ドパミン受容体への持続的な刺激が期待できるだけではなく、1日1回の内服というおのは、患者側にとっても利便性が向上します。

レボドパ誘導体

レボドパのエチル化誘導体であるエチレボドパや、メチル化誘導体のメレボドパ。水溶性のためレボドパに比べて吸収が早くなること、それによってno on減少、delayed on現象の改善が予想されるため、レボドパに代わるという期待がかけられています。

最先端の治療薬?!「抗体医薬品」!
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アデノシン受容体拮抗薬

アデノシンA2a受容体に対する選択的拮抗薬イストラデフィリン (KW6002) は、低容量のレボドパとの併用で抗パーキンソン効果をあらわしました。さらに維持量のレボドパ投与に比べてジスキネジアを軽減し、レボドパの半減期を延長しました。アデノシンA2a受容体は線条体から淡蒼球に投射するニューロン上で多く発現しているため、ドパミンD2受容体・代謝型グルタミン酸受容体などと機能的な2量体を形成することもあります。この受容体への刺激はドパミンD2受容体の働きに拮抗しています。そのためA2a受容体を遮断することは、ドパミン刺激を介さずに抗パーキンソン作用を示すことになっています。2012年現在イストラデフィリンがアメリカと日本で承認申請中、プレラデナントなどが臨床試験実施中である。KW-6002として、協和発酵キリンが1996年以来治験を実施しています。特に問題となる副作用は起こされていません。

グルタミン酸受容体作動薬

ドパミン放出効果を持つアマンタジンは、グルタミン酸受容体のうちNMDA受容体の拮抗薬です。その他の受容体ではAMPA受容体拮抗薬の抗パーキンソン効果が期待されています。AMPA受容体拮抗薬であるペランパネルは臨床試験の段階にまで進んでいますが、安全性は認められたもののパーキンソン病の運動症状を改善する効果は認められませんでした。このような状況で、日本の企業はペランパネルの抗パーキンソン病薬としての開発を断念しています。

細胞移植治療

2008年4月、新型の万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」から作り出した神経細胞を使ってパーキンソン病のラットを治療することに、マサチューセッツ工科大学(MIT)のルドルフ・ヤニッシュ教授らのグループが成功しました。 研究グループはマウスの皮膚からiPS細胞を作り、神経伝達物質のドーパミンを分泌する細胞に分化させました。そして、パーキンソン病を人工的に発症させたラット9匹 の脳に移植したところ、8匹の症状が改善、特有の異常動作がなくなりました。移植した細胞がラットの脳内に定着し、ドーパミンを正常に分泌し始めたと考えられます。患者自身の皮膚などからiPS細胞を作れば、拒絶反応なしにこうした移植治療ができると期待されています。